団体概要

代表者挨拶

[QOLを考える会]
理事長 曽川 郁夫

QOLという言葉は介護保険が施行されてからこの10年、急速に浸透して来た感があります。またそれを後押ししているのが「インフォームド・コンセント」という概念です。正しい情報を得た上での合意には、情報を与えられる側がより積極的に取り組むべきというのが弊会の理念のひとつでもあります。

 現代医学の目覚ましい発展は高齢化という時代の要請を受け、より多様な概念と柔軟性を求められている節があります。今日の私達は病気というものが、疾患や傷病名によって医学的に定義出来る事を知っています。同時にその合併症等で生じる障害については、医学的に充分定義されていない現状も知っています。ましてや医療行為においてもエビデンス(治療法を選択する際の根拠)の概念が導入され、患者側はより多くの選択肢を与えられる環境に移行しようとしています。病気や障害と向き合う事は人間がより人間らしい生活に回帰する機会を与えられた事と考えれば、これはQOLでいう人間の尊厳を回帰する事にも繋がってきます。

 弊会では患者・家族を医療消費者と位置づけ、医療の父権主義(パターナリズム)を遠ざけると共に、上下目線の撤廃を呼びかけています。これは前述したエビデンスはもとより保健行政にも積極的に関わる事を支援し、より広い視野で人間の尊厳を問う活動に育てて行きたいと考えています。

 思い起こせば医療消費者の自己貴任が「知る義務」と称しスタートしてから12年が経過しました。まず私達はこの知る義務の行使はもとより、これからの時代に備え「選択する義務」を行使する事も大切な鍵となることを訴えて行きます。弊会は会員の皆様と共にこれらをより一層押し進めたいと考えています。

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